HINODE PROTECT FUSEとは?
通常のヒューズ(普通溶断形)やブレーカでは守れない短絡事故に対してもすばやく遮断することが出来るHINODEの速断ヒューズです。
- 組立作業時のミス
- 異物の混入
- 加熱・衝撃・その他外乱により半導体自体が破壊された場合等、設計上講じてきたすべての保護手段が無になった時、HINODE PROTECT FUSEは保護の最後の砦となり、それらの事故が他の素子や機器へ影響を及ぼす前に、安全に遮断いたします。
HINODE PROTECT FUSEのアプリケーション
- インバータ・モータドライバ
- サーボドライバ
- 直流電源
- 交流可変電源
- UPS
- リチウムイオンバッテリーなどの二次電池ソリューション、パワエレ製品全般に広く使われております。
Q:早く切れるということは、切れやすいという事なの?
A:定格電流付近では逆に普通溶断形より切れにくく出来ています。
回路の何処にヒューズを使えばいいのか
まずは何をヒューズで保護するのか、方針を検討願います。
- 供給電源への二次被害防止
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- コンデンサ短絡・IGBT短絡からの保護・・・FUSE Aに適用
- コンデンサ短絡・IGBT短絡・ダイオード短絡事故に対応・・・・FUSE1,3に適用
- コンデンサ短絡・IGBT短絡・ダイオード短絡・地絡に対応・・・・FUSE1,2,3 or 4,5,6,7,8,9に適用
- ダイオード素子の破壊防止
-
少ないヒューズで素子破裂・発火防止したい場合
- 逆流DC電流による素子破壊防止・・・・FUSE Aに適用
- 供給電源電流による素子破壊防止・・・・FUSE 1,3に適用
- 上記両方の防止・・・・FUSE A,1,3に適用
- 素子破裂・発火を防止した上で、健全素子は出来る限り再利用したい場合 ・・・・FUSE4,5,6,7,8,9に適用
- IGBT、サイリスタ素子の破壊・短絡モード防止
-
- 少ないヒューズで保護したい場合・・・・FUSE Bに適用
- 健全素子は出来る限り再利用したい場合(サイリスタのみ)・・・・FUSE C,D,E,F,G,Hに適用。
- 数KW~数十KWの機器では、FUSE 1,3Aにヒューズを使用することが多いようです。
ヒューズの選定方法
- 主な選択項目
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- 使用電圧(交流または直流)
- 通常電流
- 過渡電流
- 周囲温度
- 遮断電流(最大遮断電流、最小遮断電流)
- 耐久性能
- 取付構造
これら選択項目から条件に見合うヒューズを選定願います。
- 使用電圧
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- ヒューズの定格電圧はヒューズ挿入回路電圧以上としてください。
- 通常電流
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- 通常電流は不必要な溶断を避けるためにヒューズ定格電流に対し負荷率を下げてご使用ください。
主な使用負荷率は下記となります。
- 過渡電流(溶断l2tの考慮)
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- カタログに記載されている溶断I2tは発生した熱が内部の導体から熱伝導により放熱されない時間内で溶断する電流によるエネルギーです。溶断I2tはヒューズタイプにより異なります。過渡電流(サージ電流、起動電流、突入電流など)の発生がある場合には溶断I2tを考慮する必要があります。過渡電流のI2tがヒューズの溶断I2tに対し大きいと、ヒューズの不要な溶断につながります。過渡電流のI2tはヒューズのI2tの25%以下とすることで過渡電流の繰り返し3万回以上となります。
- 周囲の温度
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- ヒューズ特性は周囲温度25℃によるものですが、周囲温度が高くなればヒューズは熱の高い状態での動作となりますので寿命も短くなります。周囲温度が高い場合には使用負荷率をさらに低減してください。
- 遮断電流
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- 最大遮断電流
ヒューズの遮断容量は回路の最大故障電流以上としてください。
- 最小遮断電流
回路の事故電流がヒューズの最小遮断電流以下の場合には溶断後に再点弧の可能性がありますので他の保護機器と併用して使用してください。
- 回路時定数
直流回路でご使用の場合は、遮断容量で規定されている時定数以下(または回路時定数により電圧を低減)としてください。
より詳しいヒューズ選定についての資料はこちらをクリック
「ヒューズの選定について」のPDF資料がダウンロードされます。
使用目的および事例
短絡が発生すると、回路には定格を大きく超える過電流*1が流れます。
これにより配線パターンや部品が異常発熱し、発火・発煙及び部品の破裂等の事故になります。
また、短絡により部品が破損した際、その部位の特定は難しく、復旧までに時間がかかることが予想されます。
それらの事故を最小限に防ぎ、また効率よく修理の作業を行えるよう*2弊社のヒューズは貢献致します。
下記にヒューズ使用例の一部を紹介致します。
半導体(ダイオード、サイリスタ等)保護
- 目的
- 負荷回路短絡時の過電流からの半導体保護。又は半導体自体が破壊された場合*3の二次被害防止。
- 使用事例
- サイリスタスタック、電力調整器、電気炉(SSR等でヒータ制御を行っている装置)、直流安定化電源等。
また、パワーデバイスを使用しているモジュール全般。
インバータ回路における短絡モード(アーム短絡)からの保護
- 目的
- トランジスタ又はダイオードの破壊、制御回路・ドライブ回路の故障またはノイズによる誤動作等が原因で起こるアーム短絡の二次被害防止。
- 使用事例
- IGBT等の半導体を使用した機器(モータドライブ、エアコン、UPS等)のブリッジ回路等。
部品の劣化等における短絡からの保護
- 目的
- コンデンサの劣化における絶縁抵抗の低下による内部短絡の二次被害防止。
- 使用事例
- キャパシタ、平滑コンデンサ使用回路(電源回路等)等。
その他、出力短絡・地絡やバッテリ短絡からの保護
- 目的
- 誤配線及び負荷の絶縁不良等が原因で起こる出力短絡、地絡の二次被害防止。
装置間及びユニット間の保護。バッテリ両極板の短絡による二次被害防止。
- 使用事例
- バッテリ使用装置(フォークリフト、ゴルフカート、UPS等)、制御盤、半導体製造装置等の産業用装置と呼ばれるもの全般。短絡電流が原因の過電流によるケーブルや回路の異常発熱や焼損保護。
- 短絡電流はその回路の容量により異なりますが、場合により数千A~の大電流となります。
弊社製品の殆どが遮断容量が最大10kA以上ですので、これらの電流を安全に遮断できます。
- ヒューズの断線により問題の回路が断定出来、また他装置への影響を極力防げるため。
- 半導体自体の故障原因:ダイオード破壊、ゲート破壊、温度破壊、アバランシェ破壊、発振破壊等が有ります。
こんなときは?
どのヒューズを使えばいいのか、知りたい
PUROTECT FUSEヒューズご利用ガイドを参照願います。
ヒューズは電気的には、遮断性能(通電電流に対してヒューズ定格電流が小さいほど良い)と耐久性能(通電電流に対してヒューズ定格電流が大きいほど良い)という相反する性能が要求されます。
お客様の希望に対して、この両方のバランスがとれたヒューズを選択下さい。
選ぶヒューズが無くなってしまったら・・・
お気軽に弊社にお問い合わせ下さい。各データや本カタログ記載の選定方法は簡略化のためのマージンが有りますので、別途詳細資料等をご用意いたします。又、詳細情報を頂ければ、弊社でも選定のお手伝いをさせていただきます。
耐電圧性能を知りたい
ヒューズの定格電圧の項目をご覧下さい。事故時に想定される短絡路中の回路電圧(DCの場合は整流後の電圧)よりも定格電圧が大きいヒューズを選んでください。
ただし以下の点にご注意願います。
- ACかDCかにより、ヒューズの定格電圧が違う場合がありますのでご注意下さい。
- DCの場合は短絡路中の回路時定数(L/R)によって、使用できる電圧が変わります。
各ヒューズの“直流回路への適用”グラフを参照願います。
- 適用する規格(UL規格・CCC規格等)により、同じヒューズであっても定格電圧が変わる場合があります。
定格を超えた電圧の回路で使用すると、規格認定ヒューズと見なされませんのでご注意下さい。
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上記の選定により遮断は可能ですが、さらに電圧に余裕を持った選定をすることにより
- 電源電圧変動に対応できる
- 遮断時間を短くすることが出来る(後述)
- 最小遮断電流を小さくすることが出来る
という利点があります。
遮断性能を知りたい
保護対象物が破壊される前に遮断出来るか知りたい。
- a.過電流時間がおおよそ10ms以上の場合
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- (ア)溶断特性曲線よりご判断願います。
対象物の破壊特性の電流A-時間secグラフが溶断特性曲線より右側に位置している場合、破壊前に溶断が可能です。
- b.過電流時間がおおよそ1ms以下の場合
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- (ア)各ヒューズの全遮断I2tを“使用電圧に対する全遮断I2t”グラフを使用して補正する。
- (イ)保護対象物の許容I2tが公開されている場合はその値と比較し、全遮断I2tの方が小さければ破壊前に遮断可能です。
- (ウ)保護対象物の破壊電流-時間のみが公開されている場合は、その値から許容I2t=破壊電流2×時間を算出し、(イ)同様に比較検討します。
aの領域は他の保護機器や電流制限機能により保護し、bの領域の保護を重視して選定する場合が多いようです。
又、全遮断I2tが許容I2tより大きい場合でも、破裂・発火・二次破壊防止用としてよく使われております。
- 遮断不能な電流値を知りたい
- 各ヒューズの遮断容量値を参照願います。これを超える電流は遮断できません。
- 各ヒューズの最小遮断電流値を参照願います。
これを下回る電流は遮断できません。溶断しても遮断出来ず、事故になる場合が有る為、
- 他の保護機器や回路の電流制限機能により、この領域の電流が流れないようにする。
- 回路電圧を上回る定格電圧のヒューズを使用して、最小遮断電流を小さくする。
等の対処をお願いいたします。
電気的耐久性を知りたい
- 過電流が何秒-何Aまでだったら耐えられるか知りたい。
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- 各ヒューズの溶断特性曲線から値を読み取ってください。
- 溶断特性曲線の電流範囲よりも、大きな電流が流れる場合は、各ヒューズの溶断I2t値から計算します。
溶断時間=溶断I2t値÷(短絡電流値)2
(これらの溶断時間・電流は1回限りの過電流にのみ有効です。
このような過電流が流れた後はヒューズが切れやすくなります。
詳細は寿命に関する資料を参照願ます。)
- 定常電流や繰り返し過電流に対するヒューズの寿命が知りたい。
- 別途詳細資料をご用意しております。
耐久性能を知りたい
PROTECT FUSEを購入したい
ご担当商社又は弊社にお気軽にご相談下さい。
ヒューズの型式が決まっている場合は、見積依頼フォームにてお見積依頼願います。
切れたヒューズの解析を依頼したい
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