エンジニアインタビュー

技術部部長兼品質管理責任者・環境管理責任者
株式会社日之出電機製作所に入社、技術部に配属。遮断試験装置の設置を任され、回路設計、部品の収集、組み上げ、評価を実施し実用化に尽力する。現在は技術部門長の他、品質管理責任者、環境管理責任者を兼務し、品質システムの運用管理、環境システムの運用管理を行っている。
<主な設計開発製品>
  • 400KHK、660KHK、500SFK、600SFK、350GHK、660GHK、750GHK各シリーズ 各種基板実装用ヒューズを設計
  • 750GHシリーズ 日之出660Vヒューズと同サイズ、同形状でAC850V、DC700Vヒューズを設計
  • 350GHシリーズ 日之出250Vヒューズと同サイズ、同形状でAC380V、DC400Vヒューズを設計
  • 600SFKシリーズ ハイブリットカー用の小型ヒューズ設計
  • 600CFTヒューズ ハイブリットカー用の小型ヒューズを開発

その他多数の製品開発に携わる

HINODEヒューズの優れている点

日之出ヒューズが優れている点を教えて下さい。
信頼性、そこに尽きるかと思います。やはり創業以来半世紀以上ヒューズを作り続けて多くのお客様にご利用いただいて来た実績と、お客様の声を聞き、お客様が必要とする新商品開発を行ってきたことは評価をいただいています。
お客様が必要とする新商品開発となるとお客様とのコミュニケーションが重要になってきますが。
通常はお客様→営業→技術という形でコミュニケーションとっていますが、営業が技術的な知識レベルが高いので、踏み込んだコミュニケーションがそこで行われ、かなり具体的なお客様要求が出てきます。その後直接エンジニアとお客様とのやり取りもあり、そこで更に具体的な話をさせていただくことが出来ます。
不良品の割合が100万個作って0というお話ですがその辺に関してはいかがでしょうか?
市場クレームはほとんど0に等しいです。これはもう1945年の創業以来ずっとですし、特に最近の品質は以前より上がっていると思います。
最近品質が上がったというのは何故でしょうか?
品質管理体制の強化です。基本的には出来た物を選別するという形ではなくて「設計品質」「製造品質」の2つが一番重要だと思っているので、工程の中で問題が出て来たときに、その記録をとってフィードバックして新しい設計に関してはそこを生かしていくというような形にしています。それでそれが結果に繋がっているのだと思います。

日之出電機製作所の品質管理

品質管理に関してどのようにお考えですか?
品質を可能な限り小さな範囲内で一定にする活動となりますが、設計品質が製品品質の一番重要なところだと思っています。また、生産工程においては、製造部門と協力して工程設計をしていきます。
設計、生産工程いずれにおいても、主にFMEA(failure mode and effects analysis)という手法を用いて分析を行っています。これらは起こりうる問題を未然に想定し、対応するという未然防止活動となります。
その他の品質管理についてこだわりがあれば教えていただきたいと思います。
製品は人が作っているので人間の技能に頼っている部分があります。それらについては、特殊技能ということで強比訓練と認定制度という形を採用しています。
となると技術部の方と製造部の方の関係性というのは重要ですね?
切っても切り離せないと言いますか…。なので、ある程度の開発が進んだ段階で、物の作り方も含めて設計の段階から製造部とコミュニケーションは密にとっています。

製品に対するこだわり

エンジニアの目線での日之出製品に対するこだわりを教えて下さい。
一番のこだわりは「ヒューズを小さくすること」です。特に「高電圧」にはものすごくこだわっています。
そのこだわりのきっかけになったのは何ですか?
お客様の製品の小型化において、ヒューズの小型化の要望はたくさんいただいています。
そういったお客様の要望がきっかけとなっています。
日之出クオリティを維持する為に努力されてきたことがあれば教えてください。
設計としては、お客様の安心、安全のため、遮断試験、耐久試験、環境試験などを確実に実施するほか、新しい要素技術の開発にも努めています。製造現場の方たちにもヒューズがどれほど重要で、お客様から必要とされているかということを理解していただく活動にも力を入れ始めています。

社内・技術部内について

普段の技術部はどんな雰囲気ですか?
通常皆黙々と仕事をこなしていますが、ちょっとしたミーティングなどはその場ですぐに始まるといったような感じです。フロア内での会話は、会議室などでの固い感じや、飲み屋などの砕けすぎた感じとはならず、固すぎず、砕け過ぎず、ちょうどいい会話ができます。その中で出てきたアイデアも数多くあり、要素技術として生かされています。
新しい技術部のスタッフが来たときにはどういった指導をされるんですか?
設計者として必要なスキルをまとめたものがあるので一般的な教育は最初にやってしまっています。電機的なことや図面のCADの使い方とか。ただ電気系の大学出身の学生に関しては電気回路の知識とか詳しいので、そこに関しては特に難しいことはやってないです。あとはヒューズの教育です。
やっぱり特殊なものですものね。その辺今までデザインしていく上で経験されていくことを、新しく入られるスタッフの方に教える…。
段階を踏んで経験を積ませていきます。まずは評価試験を一通り経験させ、そのあとは自身で評価計画まで立てさせ評価実施、試験を通じて、ヒューズがどういうものかをある程度理解してもらった段階で、まずは部分的な開発テーマを実施いただき、製品開発を経験させていきます。お客様とのコミュニケーションは製品開発の段階ごろから経験を積ませていきます。

社内・技術部内について

部長から見て日之出電機製作所というのはどのような会社ですか?
何でも言える会社であることは確かですね。自由に物が言えます。
それは社長の方針でそうなったんですかね?
社長の方針ですし、社長の性格でもあります。
フラットに意見を通すことができる会社としての社風。確かにそういう感じはしますね。
ちょっと自由すぎという気もしますけど。そこはいい面なので。そのいい面を残しつつ・・・規律は保っていく。
外部から見ても、よくある中小企業特有の年功序列的なものは感じないですね。やっぱりみなさん年齢層が若いというのもありますけど結構自由ですよね。
そうですね。自由だからこそまだまだ伸びていくことがいっぱいあるんですよね。その伸びる箇所を明確にしていってどんどん伸ばしていきたいなと思っていますけどね。
部長から見た日之出電機製作所はこういう会社だなぁと客観的に思う点があれば教えてください。
さっき言ったまだまだ伸びる要素があるということに尽きるんじゃないですかね。
やっぱり個々の社員レベルが高いっていうのは私もすごく感じますので。すごく技術がある方が集まっているのをもう少しまとめていって力を倍増させるということですよね。
おっしゃる通りです。力を倍増させることも可能です。

お客様と日之出電機

作り手の立場からして、どういう方に御社の製品を利用してもらいたいというのはありますか?
「既存の製品に満足していないお客様」です。今市場にある製品に満足してないお客様に対して、日之出電機ではこういうことが出来ますよっていうことを提供していけたらいいと思います。
他には無い"より良い物"があるっていうことを伝えていきたいということですね。
「価値がある物」っていうことですよ。お客様の声の中から、そこから「こういうものはどうですか?」という、お客様にとって価値のあるものを提供していきたい。
未だ見ぬ海外のお客様に対して、技術部部長からメッセージをお願いします。
品質には自信を持っているので「確実に製品を保護できます」

今後について

今後技術部としてやりたいことを教えて下さい。
高電圧、光電流、小型化、これに特化したヒューズを作りたいです。
日之出カラーを全面に出したものですか。
はい、本当にうちのヒューズの特色を生かしたもので、日之出にしかできないものを作っていきたいです。

日之出ヒューズとは?

部長にとって日之出ヒューズとは何ですか?
正直ここに来たときは「たかがヒューズ」っていう印象だったんですよ。ただ実際これだけ関わってくると全然そうではなくて、もうかなり重要な、人生の中でもかなり重要なものになっているのは確かですね。
それは何がきっかけで?
最初の頃は自分で開発した製品というよりも、今ある既存製品の整理がメインだったんです。実際どういう物なのかとか資料が殆どなかったので、その資料整理とかだったんですけど。ある時から実際自分で開発して、それが世に出ていくような状態になってきて、それが結構お客様にご好評をいただく製品がいくつか出てきて。やっぱりお客様から褒められると嬉しいですよ。

ご自身で作られたものが評価をされることによって愛着が。
そうですね、日之出ヒューズは自分の子供みたいな愛着があります(笑)。
それでどんどん愛着を…。極端な話自分の分身みたいな?
そうですね、そこまで言ってしまうとちょっと恥ずかしいですけど。まあでも本心と言えば確かに本心ですね。なかなか口にできないですけど、恥ずかしくて。

メッセージ

日之出ヒューズの導入を検討している国内外のお客様に対してメッセージをお願いします。
「私たちはお客様の期待を裏切りません」と言うのは是非言いたいです。実際新しいお客様とお話すると、まずお客様からリクエストを沢山いただきます。ああしたい、こうしたいと言うご意見を。例え無理に近い要望に対しても私たちは創業以来ずっと真剣に向きあい続けて半世紀以上きています。それは技術部だけに限らず品質管理部も製造部も含めて、会社全体がそういう考え方でやっています。
なるほどそれこそが日之出電機の姿勢ですね。
お客様本意のヒューズの導入方法まできちんとサポートするまで、ただ言われたことをそのままやるだけじゃなく自分たちで考え、自らのやり方で最善な方法をご提案することを常に考えています。